今回は不登校の原因にならないために心的外傷後ストレス障害の治療について書いていきます。
心理療法としては、1回だけでなく連続して行われますので、第一に患者さんと熟練した医療関係者が心的外傷後ストレス障害の症状改善を目指して深い信頼関係を築くことが重要になります。患者さんが同意すれば、原因となったトラウマ体験を少しずつ語ってもらいます。トラウマ体験に向き合うのが怖いのは、非常に理解されます。しかし、いつまでも避けてばかり、逃げてばかりでいると逆効果になってしまいます。恐怖感に慣れることができないと普通の生活に戻ることができないということを患者さん自身が理解することも大切です。
信頼する医療関係者と2人の時であれば、あえてトラウマ体験を想起して、それを言葉にして話しても、その時の恐怖感は耐えられるものであって、またトラウマ体験は過去の出来事で、現在起こっていることではない、身の危険は生じないということを心身ともに理解できるように、繰り返して慣らしていくうちに少しずつ恐怖感が減っていくことを実感してもらうそうです。最終的には、トラウマ体験やフラッシュバックが来ても、それを避けたら怖がったりしないようになります。他にもトラウマの経験を理解、整理して克服する認知処理療法、眼球運動でトラウマを克服する眼球運動脱感作療法、患者同士で語り合うグループ療法といったこともできます。
薬物療法としては、不眠・不安・うつなどの症状もみられるため、ミルタザピンやベンラファキシンなどの抗うつ薬、オランザピンやクエチアピンなどの抗精神薬でも使わている、高血圧に使われているプラゾシンなどの使用が考慮されることもあります。次回は対策について紹介します。