うつ病は、日常生活に強い影響が出るほどの気分の落ち込みが続いたり、何事にも意欲や喜びを持ったりすることができなくなる病気です。社会生活を送るうえで、悲しいことや不快なことへの遭遇を完全に避けることができず、悲しく気分が落ち込み・やる気が起こらないといった状態になることは誰にでもあることです。うつ病の場合は悲しみの誘因となる出来事がはっきりしなかったり、誘因があったとしても、通常その出来事に対する心的な反応と予測される状態よりもはるかに強い症状が引き起こされたりします。また、仕事や日常生活に支障をきたすほど強い症状が現れるのも特徴です。
原因は、明確な発症メカニズムは解明されていません。しかし、うつ病の人は情動行動を制御する神経伝達物質のなかのセロトニンやドパミンの機能低下が関与している可能性が示唆されているそうです。他に脳の海馬や前頭葉などの領域で学習機能に重要な神経栄養因子が減少していることも示唆されています。ストレスを受けるとストレス対処のためにグルココルチコイドが分泌されますが、過剰放出されると神経細胞が傷害されることが知られており、うつ病発症を誘発させてしまいます。
症状は、強い悲しみや気分の落ち込みなど、いわゆる抑うつ気分や意欲の喜びの低下が現れることです。ただ、症状の現れ方は人によって異なり、動作が緩慢になって反応が遅くなるケースもあれば、些細なことで怒りっぽくなるといった行動の変化もあります。進行するとさまざまな感情を感じにくくなり、生きている実感がわからない、何事も悪く考えて自己否定的になり、死にたいと考えるようになってしまい自殺を遂げることもあります。子どもと大人関係なく発症して相談できずに苦しむことで、不登校につながっることもありそうです。次回は具体例について書いていきます。